tt4.gif (1397 バイト)


  治療しないでおけば、視神経から脳脊髄液に入るか、血管から血液に流されて転移をおこし、数年以内に死亡することが殆どです。

  治療法としては眼球摘出手術眼球保存療法とがあります。最近は治療研究の成果で、眼球保存できる場合が多くなり、眼球摘出する症例の現象が目立ちます。

  治療法について一般の方や専門家でない医師に「眼球を摘出してしまえば安心」という誤解が応々にしてありますが、これは間違いです。多くの場合、腫瘍細胞は血液を通って眼球の外へ流れ出ていると考えられています。幸いなことに網膜芽細胞腫は眼球の外で発育しにくいので、眼球外に腫瘍細胞が浸潤を始めるくらいまで時間が経過して、腫瘍が大きくなり、体外に流れ出た腫瘍細胞の数が多くなるか、腫瘍細胞の悪性度が特に高いかの場合にしか転移は成り立ちません。

  このような観点から、眼球の中でかなり大きくなった網膜芽細胞腫の眼球保存療法を行っても、腫瘍細胞を確実に殺せるなら、眼球を切り取ることにより目にある腫瘍細胞を取り除く眼球摘出と眼球保存療法とは、局所の治療としては転移に関して大きな違いは無いことになります。

  もし眼球の外に腫瘍細胞が出てしまっていれば、眼球を摘出しても、その細胞は体の外に取り除けないからです。ただ問題なのは、腫瘍がかなり大きくなっていると、眼球の視機能が低下している場合が多いので、極端な場合として、失明している眼球を苦労して保存する意味がどれほどあるかということです。このような場合、患児の保護者に決めていただいています。しかし多くの方々は、例え見えていなくても、眼球を摘出しないで保存療法をして欲しいと言われます。

  義眼もかなり進歩して、どちらの目が義眼か分からない場合も多いのですが、動きが悪かったり、風邪を引いた時などに目脂が多いなどの問題があり、取り扱いが面倒であることは否めません。眼球を保存した時の問題点としては、いつ再発するかもしれない不安感と治療の為に費やされる時間や費用、治療による副作用の可能性などがあります。

-説明文より-


トップページへ