4月9日〜

放射線の治療も2、3回と回数をこなす内に、瞬も恐い治療じゃないことが分かったのか、おとなしく治療を受けられるようになった。どうやら治療後にもらえる飴に期待しているようだが。(^^ゞ

良かった事に(良い事じゃ無いけど)、瞬の治療中に他に同じくらいの子供が多かった(それでも3人)ので、放射線治療の待ち時間は遊び相手がいて、あまり飽きなかったようです。ただ瞬は友達と遊ぶと言う事は少なく、椅子に座って、ずっと本を読んでいるっていうのが多かった。何か暗い子供だぞぉ。

5月13日まで放射線治療が続く。眼科の診察が水曜日、放射線科の診察が水曜日、金曜日となっている。治療後1週間にして変化が現れたようで、「少し小さくなっている」と言われた時には、とてつもなく嬉しかった。この言葉を聞くまでは、放射線治療が効かなかったらどうしようと不安で仕方が無かったが、このまま小さくなって死滅化してくれ!っという願いに変わった。ただ放射線治療中でも転移の可能性はあるわけだし、他のガンが出るかも知れない。心配性なせいか、毎日、お風呂に入ると目の回りを手で触って「しこり」を確認していた。

4月8日

不安だらけのまま国立がんセンターでの検診。予想通り目薬を注され泣き叫ぶ。辛いがやるしかない。先生は金子先生。唯一、目のガンに関して専門に扱う先生です。この病気に関しての知識と経験は国内一でしょう。安心して診てもらっていいのか分からないが、そういう先生に診てもらえれば、最善の治療方法が分かると思った。眼底検査の結果、両眼とも非常に厳しい状況だと告げられる。方法としては両眼摘出。それを聞いた時、え?、両眼取らなきゃならないの?っと耳を疑った。左眼摘出は覚悟して病院に来た。でも右眼もっとなると、気持ちの整理がついていない。目の状態については、左眼は獨協の診察結果と変わらず、かなり大きい腫瘍がある。右眼は小さい腫瘍が散っていて、網膜剥離がかなりあるという。摘出するなら両眼ということだった。がんセンターに来る前に、左眼は覚悟して来たのだが、右眼もとなるとショックだ。保存療法もあるという説明を受け、治療の成果に期待し、両眼の保存治療をしてもらうことにする。転移の心配はあるが、両眼を取るということは避けたかった。

保存治療をするにあたり、転移について説明を受けた。転移するかも知れないし、しないかも知れない。既に転移してしまっているかも知れない。これは誰にも分からないし、先生にもどうなるか分からない。たとえ両眼を摘出しても、既に転移があった場合、結局、辛い全身治療等をしなければならない。逆に両眼を摘出しなくても転移はしないかも知れないし、左眼の腫瘍を小さくできればある程度の視力回復が見込めるかも知れない、しかし今後、転移するかも知れない。もう分からないことだらけだ。これがベストという方法が無い。

早速、保存治療をしてもらうことにする。まずは計23回の放射線治療を行う。月〜金で毎日行う。腫瘍部分と視神経に放射線を当てる治療で、網膜芽細胞種は放射線に反応しやすいらしい。視神経は脳に達するギリギリのところまで当てるという。これは転移予防のためと、すでに視神経に浸潤しているガン細胞を殺すためです。近い部分に成長に影響する部分があるが、そこに放射線が当ると成長が止まったりするので、当てないようにするということ。

放射線科の先生から副作用等について説明を受ける。放射線を当てる部分の骨の発育が悪くなったり、そこから新たに腫瘍が出てくる可能性があるということ。白内障等の別の病気が出る場合もあるということ。脳下垂体に掛かってしまうと成長が止まってしまう場合があるということ。脳下垂体には掛からないようにギリギリ当てると説明を受ける。白内障については、左眼は腫瘍全体に放射線を当てるので左眼は起きる可能性があるということ、右眼については95%自信があるということ。転移等についても詳しく説明してくれて、非常に分かりやすかったです。

いよいよ初めての治療です。ベットに「縛り付けられ」、顔を固定します。ベルトでガチガチに固定され、瞬は大泣きしてる。すぐ終わるから、がんばれ!っと可哀相だけどやらなきゃならないという気持ちで部屋を出る。操作室で瞬の状態がモニターで確認出来る。治療自体は数十秒で終わる。こんなんでいいの?ってくらいの時間だ。

4月6日

独協に行く。ママ方のばあちゃんに付いてきてもらう。後で知ったが、ママから「網膜芽細胞種」かも知れないと話しはしてあったようだ。不安と違う病気であって欲しいという気持ちで独協に向かう。眼科で目薬を注す。(その時は知らなかったが、瞳孔を開かせる薬)頭部のCTも撮るようなので、眠り薬の入った薬を飲まされるが吐いてしまう。嫌がって暴れている瞬を押さえつけた。何度も涙が出そうになったが、検査をしてもらわないとという気持ちで頑張った。眼底検査の後、別室に呼ばれ先生から説明を受ける。やはり「網膜芽細胞種」であった。前日に予想はしていたが、ショックは大きい。ママは泣き出してしまった。CTの結果、両眼に腫瘍があるという。左眼の腫瘍は大きく、おそらく見えていないし、摘出になるだろうとのことだった。摘出については前日にある程度、この病気に関して情報を得ていたのでショックは大きいものの、先生の話を取り乱して聞けなかったということは無かった。ただ右眼にも腫瘍があることを告げられる。かなりショックだった。まだ腫瘍が小さいので固めることはできるだろうということだった。両眼とも眼球の外側の部分(強膜)は綺麗なので、外には出ていない(転移していない)だろうとのことだった。専門の病院を紹介していただけることになり、国立がんセンターで診てもらうことになる。ママと事実を受け止め、瞬に最善の方法を選んでやることを誓う。

家に戻り、家族に病気について説明する。現状の病状と、治療方法などをきちんと話し、4月8日に国立がんセンターで診てもらうことを報告した。みんな暗くなってしまったが、瞬だけは元気一杯遊んでいた。ただ家族の雰囲気が違うのを察したのか、いつもとはどこか違うようにも見えた。

4月5日

前日にママ方のばあちゃんに「やっぱり色がおかしいので、一度、病院に行った方がいい」と言われ、地元の眼科で診察を受けることにした。丁度、デジカメで撮った写真を見ていて、ほぼ確実に白色瞳孔が出ていて「これはまずい」と思っていた時だった。診察はママが付き添ったので、先生の話は聞けなかったが、「左眼は見えて無いだろう」とのこと。ママにこのことを聞いた時、信じられない気持ちで一杯になった。明日、紹介状を持って独協大学附属病院で診てもらうことになる。病院から戻り、いろいろ左眼の反応を確認してみるが、やはり少し右眼とは違う反応を示すような気がする。

夜、ママが紹介状を蛍光燈に透かしてみると、「腫瘍」という字があるという。ママとの会話も少なくなる。家にある病気の本を見るが、目の病気に当てはまる症状のものが載っていない。インターネットでいろいろ調べてみると、網膜にできる悪性腫瘍があるのを発見する。「網膜芽細胞種」。小児ガンの一つだ。ガンという文字を見た時、頭の中が真っ白になり、震えが止まらなくなる。瞬がガン?。きっと違う病気だ...と考えたくなる。でも瞬に見られる症状と全てが一致する。網膜芽細胞種を説明しているホームページを読むと、ほぼこの病気と考えられる。まさか目にガンがあるなんて...。一人で耐え切れなかったので、寝ていたママを起こし病気を告げる。ママは既に知っていたようだ。本当にこの病気だとしたら、早く治療をしてあげたい。今すぐにでも病院に連れていって、治療を始めてほしい...。横で寝ている瞬を見ていると、辛くてたまらない。治らないのか、転移していないのか、悪い事ばかり考えてしまう。

もう何ヶ月も前から斜視と白色瞳孔があるのは分かっていたが、定期検診時の「筋肉が弱いせい」ということが頭にあり、眼科で検診してもらうこと無く、ここまで時間がたってしまった。黒目が白く光ることについて、いろいろ調べたつもりでいたが、「ガン」とは思えなかったので、落ち度があったと思う。もっと早く病院に連れていってあげられればと思うと、悔やみきれない気持ちで一杯です。病気が酷くなってしまったのも、重い病気とは知らずに時間を置いてしまった親の責任だと思う。もっと早く治療を始めていれば、早期に治ったかも知れない...。許されないことかも知れないし、許してもらえないかも知れない。何としてでも治してやりたいと思っている。